専業主婦vs共働き どちらが良い?!(メリット、デメリット、ストレス面を徹底分析!)
2017/06/18
専業主婦っていつからいるの?
「男は仕事、女は家庭」という考え方は、日本の伝統的なものではなく近代になって作られたものです。
大正から昭和の初めにかけて学校教育が広まるにつれ字を読める人が増えたので、新聞や雑誌も普通の人が読めるものとなりました。
婦人雑誌も盛んに創刊され、そこで現在にも通じる「男らしさ、女らしさ」が広まり、主婦と言う職業が出来ました。
専業主婦の誕生です。
専業主婦は、高度成長期に男の人を企業戦士として活用するためにピッタリだったので広まりましたが、高度成長期が終わると、逆に専業主婦への風当たりが強くなってきました。
1950年代より繰り返されている主婦をめぐる論争を見ると分かります。
この論争を区分けした社会学者の妙木忍先生によると、1955年から始まった第1次より2000年代に至るまで、実に第6次にわたって論争は繰り返されました。
- 第1次(1955-1959)主婦の職場進出をめぐる論争
- 第2次(1960-1961)主婦のおこなう家事労働の経済評価めぐる論争
- 第3次(1972)主婦の立場の正当性をめぐる論争
- 第4次(1987-1988)アグネス論争
- 第5次(1998-2002)専業主婦論争
- 第6次(2003-2005)「負け犬」論争
上記の中で第1次と第2次は、結婚したら専業主婦であるということが前提でしたが、3次での論点は「主婦の立場の正当性」です。
この時点で専業主婦に対するバッシングが始まったと考えられます。
この頃より働く主婦が増え、ライフスタイルも多様化しました。
ところが、2013年の厚生労働省の調査では3人に1人が専業主婦希望と報道されました。
しかし回答を見ると「専業主婦になりたいと思う」と回答した割合は8.2%にとどまり「どちらかと言えば」を含めて、34%程度でした。
社会学的にみると「どちらかと言えば」と言う回答は、状況次第で判断が変わるということですので、専業主婦希望とは言い切れません。
専業主婦と共働きどちらが大変?
専業主婦と共働きはどちらが大変なのかは、見るべき視点により変わります。
単純に考えると仕事も家事もやらなくてはならない共働きの方が大変でしょう。
仕事そのものだけではなく職場へ行くための通勤も毎日のことなので、どんどん疲れがたまっていきます。
仕事が終わってうちに帰ってきても、家事に育児にてんてこ舞いです。
体力はもう限界です。
いいなあ専業主婦でいられるなんて、と思ったことのある共働きの主婦は多いことでしょう。
一方の専業主婦は、共働きよりもその面では有利です。
家にいようと思ったら一日外に出なくても良いのです。職場関係のわずらわしさには、一切関係がありません。
自由があります。
だけど、本当にそうでしょうか?
職場はストレスもあるけど、楽しいこともあります。
「男は仕事、女は家庭」と家庭内に役割分担があれば、夫からの家事への採点は厳しいものとなります。
家の中のことはやっていて当たり前、それがあなたの仕事でしょ?と言われても言い返せません。
世の中には自分の子どもと二人きりでも幸せしか感じない方もいらっしゃるそうですが、数時間で良いから子どもから解放されたいと思うのは、全く普通のことです。
人は社会的な動物です。
社会と関わっていないと、取り残された気持ちを持ちます。
焦りを感じる方もいます。
何より、収入がない不安感はかなり大きいです。
不安感の大きさは、夫の人間性で変わります。と言うことは、専業主婦の幸せは夫次第ということです。
実際に専業主婦で良かった理由の1番に夫がやさしい、ということをあげている方は多いです。
自分以外が自分の幸せを左右するというのは、怖くないですか?
専業主婦になるメリットとデメリット
専業主婦にはなるメリットとは一番に、心ゆくまで子どもといられることがあります。
あ、夫に尽くせることも忘れてはいけませんね。
仕事をしてないので、毎日時間に追われなくなります。
家事は仕事よりも手抜きが可能です。
会社員ではないので、自分の責任ではないのに頭を下げなければならない等、組織の一員として取るべき態度も求められません。
デメリットは、経済的な問題です。
まずは、離婚です。離婚後の養育費は、8割支払われていないそうです。
現在の子どもの貧困率の高さは、そういうことです。また、収入源である夫がリストラや賃金カットの対象となった時、家計が破たんし兼ねません。
これは、夫の年収が高ければ大丈夫ということではないのです。
白河桃子著『専業主婦になりたい女たち』の中でフィナンシャルプランナーによる家計診断がありますが、それによると、同じ専業主婦でも世帯年収が400万円の家庭より、800万円の家庭の方が将来リスクは大きいそうです。
年収800万円はそこそこの高収入であるために、周りにつられての消費が多くなりがちなのに加え、企業の業績が悪化した時に給与カットやリストラの対象になりやすい。
会社が経費を抑えようと考えた時、給与カットの対象となるのは高所得者からに違いないからです。
正社員で働いていた仕事をやめて専業主婦になり、また仕事をしようと思っても良い仕事は簡単には見つかりません。
ブランクが長ければ長いほど、大変です。
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育児休暇を使ってずっと働き続けた場合と、専業主婦後に再就職をした時の生涯賃金の差は2億円との驚くべき試算がされています。
再就職をしようと思っても時間の制約があると、年収100万円程度のパートしかないからです。
下手に高学歴だと、ファミレスやレジ打ちと言ったパートに応募しても、オーバースペック過ぎて落とされることもあるようです。
また、2020年東京オリンピックの頃にはなくなる職業に、専業主婦がランクインしています。既に先進国入りしている、日本での著しい経済成長はほぼないので、現年収からの増収は期待できません。
専業主婦のストレス
核家族となり母親だけが子育てをするようになったのは、近代になってからです。
ちなみに母性と言う言葉も大正時代にスウェーデン語の訳として初めて登場しましたが、一般に広まったのは昭和になってからだそうです。
ついでに、母性本能などという本能はありません。
10代後半以降、乳幼児と接することにより母性は生まれるそうです。
少子化や地域と関わりの薄い子育てとなった現代において、適齢期の女子が乳幼児と密に接する機会は少ないので、ますます母性本能というのはファンタジーです。
子育てにストレスを一番持っているのは、専業主婦というデータがあります。
フルタイムで働いている人より多いのです。
昔は地域で子どもを育てました。子どもたちの人間関係での基本的なしつけは地域の年長の子どもたちがやっていました。兄弟もいました。
ですが、最近は出産年齢が上がったこともありひとりっ子も増え、お母さんと子どもの二人きりで過ごしている家庭も珍しくありません。
人生で一番大変なことは介護、二番目は育児、と言われるくらい、育児は大変なことです。
保育士等の専門家ですら、自分の子どもは大変だと思うのです。
社会学者の古市憲寿氏は『保育園義務教育化』の中で、日本ではお母さんには基本的人権は認められていないと指摘しています。
誰でも子どもだったので、お母さんに対して聖母を求めていた時もあったでしょう。
でも社会全体でそれを求めるのは、もうやめた方が良いのではないでしょうか。
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