保育と子育ての違いって何なのでしょう?!

   

子育て保育違い

保育と子育ての違いについて

保育と子育てはどう違うのでしょうか。

 

Webで検索をするとコトバンクに以下のように書いてありました。

 

【保育】(ブリタニカ国際大百科事典 小項目辞典より)

乳幼児を適切な環境のもとで、健康・安全で安定感を持って活動できるように養護するとともに、その心身を健全に発達させるように教育すること。

 

広い意味では、集団保育家庭保育の両方を含むが、狭い意味では、保育園や幼稚園など専門の資格を持った保育者による乳幼児の保護養育のこと

 

【子育て】(デジタル大辞泉)

 

子を育てること。育児。

 

保育と子育ての違いを考える場合は、「保育」を狭い意味でとらえ、保育園・幼稚園などでの養育を指すのでしょう。

 

実際、「保育と子育ての違い」をWeb検索すると、mixiのトビックスや発現小町が出てきて、保育士さんや幼稚園教諭の経験のある方々が仕事での保育と自分の子どもの育児との違いについて意見をされています。

 

やはり、保育より子育ての方が大変だというご意見が多いようです。

 

終わりが見えないこと、一対一で対応しなければならないこと、その責任の重さ、保育園や幼稚園での子どもと家での子どもとの違い、などの意見がありました。

 

保育であれば、就業時間内のみ子どもの相手をしていれば良いのですが、子育てでは子どもといる限りずっと面倒をみていないといけません。

 

一対一での対応は逃げ場がありません。

保育は子育てのサポートであって、子ども個人の育ちについての全面責任はありません。

 

どんな子どもでも、先生に対する態度とママに対する態度は違うようです。

 

園では先生や他の子の手前、よそいきの顔になるのですね。

 

考えてみれば当たり前なのですが、保育をしたことがないので盲点でした。

 

生き物はみんな教えられもしないのに子育てをするのだから、子育てと言うのは本能である。

 

もちろん、人も子育てが出来るのが当然である。

 

特に女性は母性本能があるのだから、子育ては出来て当然、出来ないのは女性として何かが欠けているのではないか。

 

上記のような考えは根強くあります。

 

母性は本能ではないということは、なかなか一般化しません。

 

そもそも人も含め動物のほとんどの行動が生まれ持ったものを基としながらも、成長していく段階での学習や周りの環境の影響を大なり小なり受けることが分かってきたため、本能という概念にあまり意味がなくなり、動物行動学や心理学といった専門分野では本能という表現はほとんど使われなくなっています

 

また、野生動物の子育てと人の子育ては全く違います。

動物のようにエサの取り方、外敵から身を守る方法や身を休める方法だけなら、本能だけで教えることは出来るでしょう。

でも、人は強固な人間社会を作り上げました。

人の子育ては、人間社会で生きていくための社会性を教えることがメインです。

動物のようにエサの見つけ方ではなく、ご飯の食べ方(箸の持ち方を含め、他人に不快に思われない食べ方)を教えるのが、人の子育てです。

 

広田照幸著『日本人のしつけは衰退したか』という本があります。

1999年に出版された本です。

当時、凶悪な少年犯罪が相次いで報道されており、家庭の教育力の低下が取り沙汰されていました。

ところが、それ以前の日本では、子どもを主に教育するのは親ではなかったのです。

家庭が子どもの教育に対して全面的に責任を持つようになったのは、最近の出来事なのです。

 

つまり、現代家庭の教育力が低下したのではなく、全く逆に「子どもの教育に関する最終的な責任を家族という単位が一身に引き受けざるを得なくなった」のです。

 

同書p128には以下の記述があります。

「親たちは以前に比べてはるかに子供にさまざまなことを教えようと努力するようになっている。

また、自分で教えられないものや自分よりももっとうまく教えられるものに関しては、お金を惜しまず外部の教育機会を子どもに買って与えてやっている。現代の親たちは、しつけや教育の担当者でもあり、手配師でもあり、最終的な責任者でもあるのだ。」

 

このように、現代の子育ては親の過大な労力が必要となりました。

昔は地域や社会が子どものしつけを担っていました。

現代の子どものしつけは親のみにゆだねられています。

子育ては過酷になったのにママのワンオペ育児が話題となるなど、親となる負担は今とても大きいです。

 

それは、少子化の原因の1つであると言えましょう。

だから、国の子育て支援対象の主体は子どもというより、親へ重点を置いている訳です。

子育て支援は、「子育て」の「支援」です。

 

と言うような内容を指摘しているブログがありました。

「さえるブログ」の『「保育」と「子育て」と「子育て支援」そして「家族支援」の違いについて』です。

記事には「保育」と「子育て」を以下のように書いてあります。(抜粋)

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

「保育」
集団/グループで行う
分業制(掃除、洗濯、食事作り、施設管理、対外交渉、財政など)
原則として病児保育、重度障害児保育は行わない
就業時間内労働
子どもに対する最終責任を持たない

「子育て」
個人で行う
全てを母親(またはそれに代わる人)がマネジメントする
病気、障害もケアする
在宅児の場合24時間
子どもに対する最終責任を持つ

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

「保育」は、子どもの良い育ちへの直接的な働きかけがメインなので、求められるのは、子どもの発達についての基礎知識や子どもへの有効な働きかけのスキルだそうです。

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子育て支援は、「子育て」を支援するものなので、保育ではなく、子育てについての知識と経験に加え支援とは何かを了解・習得している人材が行うべきであり、子育て支援とは子ではなく親を支援するものなので、支援を行う人は保育の専門家ではなく、親の現状、心理、夫婦関係や現代社会が親に与える影響についての認識、成人とのコミュニケーション力や成人教育学の知識などの方が大切だと書いてありました。

 

もちろん、子育て支援の中には一時預かりなどの保育の専門家が行うのに適したこともあります。

逆に子育て相談などは、保育の知識で語られても役に立たないこともあるようです。

子どもの年齢に応じた発達段階についての悩みならば、保育の知識で対応が出来るでしょうが、子育ての悩みは親と子の関係性、言ってしまえば人間関係の悩みだったり、子育て環境の整え方の悩みであったり、子どもの社会性だったりする側面があります。

これは、保育の知識とは別の知識です。

 

保育と子育てをごっちゃにすると、折角の子育て支援も少しずれた方向へ行ってしまう可能性があるのですね。

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参考資料

広田照幸著『日本人のしつけは衰退したか』講談社現代新書1999年4月20日発行第1版

 

参考URL

<他の動物にもある!>理性の働きについて解説

さえるのブログ「保育」と「子育て」と「子育て支援」そして「家族支援」の違いについて

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